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代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)
代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)
Author: たかぎまゆみ(ののちゃ)

第一話 ベルリンの壁 東と西 私の大事な幼い恋人

last update Huling Na-update: 2025-02-07 09:53:54

冬の季節 クリスマスの季節の中で 私はいつも思う

雪の降る中 街のクリスマスの飾り付けは美しく

何処からか誰かが引くアコーデイオンのクリスマスの曲が彩りを加えていたのだ。

私の恋した…あの人、何処にいるの?幼い恋

ドイツは第二次大戦後、二つに分断

西ドイツと東ドイツ ベルリンには分断された大きな壁‥東から西に逃亡すれば

失敗すれば銃で撃たれる事も‥処刑も‥

戦争で生き延びた従兄、私達の淡い恋

親戚の叔父達は彼を連れて、東へと

本当は私の家族も私も連れて東へと行きたったらしいけど‥‥

戦争での大混乱、立場の事情 

叔父や私の家族が心ならずも 敵に協力した罪で裁かれる可能性に 

皆は絶望していたのだった。

長い月日が過ぎても 私の愛しい従兄、従兄の行方は知れずに

楽しかった日々 春にはイースター、夏には避暑地でのボート遊び

同じ寄宿学校 冬にはアドベントの訪れとともにクリスマスのお菓子を準備して

彼等が去り

私の少女時代が過ぎ、私は恋人と結婚 子供が生まれ‥

東ドイツは西より、規律が厳しく、生活も

食料も必要なものも不足がちで配給制だとも

やつれて、病にでもなっていたら・・

そうして、また月日が過ぎて、壁は崩壊 私にとっては世界は新しくなって

孫の笑顔に癒される日々に‥

或る時、偶然得たのは従兄からの文(ふみ)愛しい私の初恋よ

ほんの偶然

部屋にはクリスマスの音楽がレコードから奏でられてゆく

もみの樹 クリスマスツリーの飾りが微かな音を立てる

涙がそっと流れ落ちて‥深々とまた、アドベントの季節の中で雪が降っていた。

作品登録 25.2.7  

一部、初稿より改変

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    Huling Na-update : 2025-02-07
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    Huling Na-update : 2025-02-07
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    Huling Na-update : 2025-02-08
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    Huling Na-update : 2025-02-16
  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   花が咲く、その樹の下で貴方を抱きしめる 2

    「私 約束したのです、あの樹の下であの人を待たなきゃ」「必ず役目を果たしたなら、帰って来るって約束したんです。」「でも…私は約束を破り、別の方の世話になってしまいました。」「あの人に会いたいですブラザー」「でも…こんな裏切りをしてしまった私ですがあの人に会いたいですブラザー」彼女の瞳から流れ落ちる涙涙…「もう泣くのはおよし、そなたのせいではあるまい、きっと彼もわかってくれる」「ブラザー・・」そうしてそうして雪の降りしきる日だった。彼女が家から抜け出してあの恋人達の樹の下で倒れていたのは…助けられたものの…ひどい熱を出してうわ言のように彼女は繰り返した。「彼に会いました、やっと、彼に会えました左の片方の瞳を戦で失っていたけれど彼は私をあの樹の下で、その腕で抱きしめてくれたのです」「雪が…まるで花ビラが舞うように綺麗でした」嬉し気に語るそれからそれから一月も立たないクリスマスが近くある日だった。長い戦から遠い土地から黒髪の青年が帰還した熱い大地の下日焼けして沢山の傷を身体に刻み彼は彼女の待つ故郷に帰ってきたのだもう一つ付け加えるなら武勲、名誉、ちょっとした富、財産とそれに何より大事な命と引き換えにその左の片目を戦地に置いてきたのだった・・・・・彼は全てを受け入れて愛する娘をその腕に抱きしめた。彼女には、わずかな数年の時間しか残されてはいなかったが幸せな幸せな時間を過ごしたのだ小さな忘れ形見の子供が残されてそれからその子供は他の子供らに混ざり子供達は何ごともなく楽し気に遊び、あの樹の下で過ごしている。そうして樹の下で恋人達は互いに愛の言葉を囁きあう繰り返し繰り返しあの樹の下で恋人は腕に抱かれる。花ビラが・・雪が・・彼らを祝福するように舞い落ちるそうして変わらず教会の鐘の音が時を告げて響き渡ってゆく......FIN

    Huling Na-update : 2025-02-16
  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第六話 雨降りの図書館で〜今日は…私の最後の日

    「雨よ降れ」か‥ そういえば聖書のノアの箱舟 そんな文章があったような ちょっとそんな事を思い出す私なのであるが最近、読んだ本では 黒海で紀元前よりもっと前に 洪水があったという史実とか本当かな?ああ、そういえばメソポタミアの神話にも 洪水のくだりがあったとかなかったか‥ふむふむ大学の提出レポート 調べものはネットで調べてもよかっただけどね。 だって図書館だと電気代が浮くし 此処の図書館、最新の図書館で 設備もいいし、自販機もあるから落ち着くわ。冬の雨は冷たいわね。それに‥うふふ やったあ!やったわ!今日は彼が来ている ちょっと素敵な綺麗系イケメンな彼 すごく素敵だから、ほら皆もちらちらと彼を見ているわあ‥!あ? え、えええ! 「ここの席いいですか?」「あ、はい どうぞ」彼が あの彼が私に声をかけて 隣の席に なんて素敵 ああああ!自分の頬が赤くなってゆくのがわかる ああ、どうしよう「歴史の本がお好きなのですか?良いですね」 「あ、あの好きです それに実は大学のレポートで‥」なんて素敵な声 うっとりしていまうそうして楽しくデートみたいな会話が進んで なんと!自販機のコーラまでおごってもらったりああ、このまま図書館の中で雨に閉じ込められて 二人きり 雨よ降れ‥なんてフレーズが頭の中をぐるぐると「まだ雨降ってるね 大丈夫かい?」「ええ、そうですね 私、実は傘を忘れてしまって 困ったな」「僕は傘があるから 君が良ければ僕が駅かバス停まで送ろうか? それとも近くならタクシーの停留所まで?」「いいですか!申し訳ないです助かります」「うん、かまわないよ」 「有難うございます」 一気に関係が‥ああ、なんて幸運 なんたる幸運なのかしら! 小さな声でその言葉、つい、つい声が漏れてしまって「ふふ、本当に君は幸運なのかな?」「え?」ザーザーザアア 雨が降っている。  「ぬれちゃうよ」「は、はい」 身体が近い 吐息が聞こえる。雨よ、もっと、降っていいから「君の血、本当にいい匂い、素敵だ、僕は…くらくらして酔ってしまう」 「はい?」私の首筋に彼の顔が‥カプ‥。「あ‥」彼の口元には小さな牙 血が‥私の血にぬれて 彼の足元に崩れ去る私の身体「ああ、美味しかった、ありがとう…うふふ」 綺麗な顔をした吸血鬼

    Huling Na-update : 2025-02-17
  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第七話 大猫のサンタからの宅配(ちょっとコメディ)

    ピンポオオーン ピンホーん~~それは、それはチャイムの音が景気よくなる鳴る鳴る。「はあい」「海外に出張中のパパからのクリスマスの贈り物だよお」「良かったね凛ちゃん」そうして勢いよくドアを開ける。「・・・・」沈黙「よお、坊主 可愛いな ふふっ」何故かそこに居たのは顔が傷だらけな迫力ある大きな猫 ああ、赤いサンタの服が似合わない。まるで歴戦の戦士?いや、違うそう、玄関に立っていたのは柄の悪い感じの大猫身長は3メートル前後のでかいドラ猫である。肩の筋肉とかが凄い‥顔には傷とかあって人相・・いや猫だが、ちょっと凶悪そう 勿論というかサンタの服を着ているのだが「・・・・・」驚きのあまり、言葉を失う「坊主、ギフトだ どうした?」「贈り物がすごく嬉しくて固まってるのか?可愛いな」にやあありん‥怖い 怖すぎる笑顔(のドラ猫)「ほらよ、いいクリスマスを」お前さんのパパからの贈り物の配達だ」そう言ってプレゼントを手渡すサンタなドラ猫「め・・メリークリスマス!あ、あ、ありがとうサンタのドラ猫さん」「ああ、ありがとうよ、サンキュウ~だよ、お前さんも良いクリスマスをだ〜がはは〜ははは、にゃはは」と配送中のサンタなドラ猫はそれは豪快に笑った。作品登録 25.2.17

    Huling Na-update : 2025-02-17
  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第八話 懐かしき歌声が響き渡る

    1914年夏に起きた戦いの始まりに まだ何も知らない兵士達は、のんきに出かけていったという。秋が過ぎて そして冬の季節 轟く砲弾、僕は怪我をして包帯を巻かれたまま、また豪に降り立ち、ライフルを手に握る敵とにらみあったままで…膠着状態は続いていた。 粉雪が舞う「今日は聖夜」 目を閉じれば懐かしき光景が目に浮かぶ思い出すのは あの懐かしい場所 懐かしき歌声…懐かしき歌声…雪の粉雪が舞うあの日、子供の頃だった。キラキラと粉雪が日の光を浴びて、輝いている。 木製のスキーの箱やお手製のスキー板 乗った子供らが歓声を上げている「暖かい飲み物が飲みたいね」 「ショコラかホットミルクとか」 森の中でクリスマスの歌を唄いながら 少女の一人はそれは美しい声で、歌う「いつ聞いても、素敵よね」 「日曜日の礼拝で、また歌を唄うのよね、去年もクリスマス市場で、チャリテイの聖歌隊でも唄っていたよ…」「いつも、街の人達は足を止めるもの」 後ろの列の子供が小声でそっと、話をしている。2年前に来てから、彼女は、ずっとここにいるかのように僕らの輪の中に溶けこんで親しかった。僕は、歌を唄う少女の横顔を見つめていた。キラキラと粉雪が彼女に降りかかり、髪の上に少々、降り積もる。粉雪が髪飾りのよう「暖かい飲み物が飲みたいね」 「ショコラかホットミルクとか」 森の中でクリスマスの歌を唄いながら 少女の一人はそれは美しい声で、歌う「いつ聞いても、素敵よね」 そして、子供達は僕の家に向かう。「ただいま」愉しげな歓声をあげる僕達「お帰り… おや、お友達も一緒かい?」 「さあ、さあ…暖炉の火で暖まりなさいな」 「チキンや生ハムを挟んだパンとクリスマスのレープクへーンがあるよ」 「お手製のレープクーヘン...人型と星型とどっちがいい?」「ただいま」愉しげな歓声をあげる僕達「お帰り… おや、お友達も一緒かい?」 「さあ、さあ…暖炉の火で暖まりなさいな」

    Huling Na-update : 2025-02-17

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  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第28話 コールドスリープ(冷凍)の恋人〜宇宙船の中で

    「僕の可愛い人、眠れる白雪姫さん、寝顔が今日も可愛いね」 宇宙飛行士の男が微笑む 愛しい恋人はコールドスリープ装置の中で 冷凍保存中 「愛しているよ、君が目覚めるのは百年と三日後の予定、移住する惑星まで百年か…」 コールドスリープ、未来のテクノロジー 亜空間移動、ワープ航法が出来る…前は 宇宙船が長い時間、数十年、数百年の歳月をかけて 移動しなくてはならなかった。 或いは未開の惑星で大きな怪我などで 宇宙船、または設備の整った医療機関に運ぶ前、一時的に 身体の治療をする為に身体を冷凍保存する事も 良く、使われたのは 移住する惑星への移動、数十年、数百年の歳月を かけて、多数の人達、動物などを 冷凍保存して、宇宙船で運ぶ。 一人のサイボーグ、半機械化された人物が 恋する人を、冷凍保存された恋人をまた眺めていた。 それは愛しく、切なく 「録音の君の歌声は最高だよ、もう1000回は聴いたかな?」 「早く君の歌がまた聞きたいよ」 サイボーグとなったのは宇宙飛行士 移民船、移民の宇宙船を操縦する為に 彼は半機械化してサイボーグとなった男 「まあ、君と同じく冷凍保存でも良かったけどね」 軽く装置、顔の部分にキス 「優秀な宇宙船の宇宙飛行士だから、仕方ないさ」 静かに深淵深き闇色と星達の輝きに包まれた宇宙空間 その中を宇宙船は飛び去ってゆく。

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第27話 銀髪のバード…恋人を待つ女吟遊詩人シルリア

    銀の髪をした美しい女性が歌を歌う彼女はシルリラ、バードと呼ばれる吟遊詩人激しい戦いの歌、切ない恋の歌、穏やかな失われた故郷の歌を…。「まだシルリラは待っているのか?」兵士の一人が呟く「ああ、死んだ事を受け入れずに 生きて戻るのを信じてる可哀そうに」「彼は 貴族の二男 美形で 本当に良い奴だった残念だ美しいシルリラと並ぶと まるで美しい絵のようだったあんなに互いを深く愛し合った二人なのに」シルリラは歌う「戦の嵐が吹き荒れる この大陸の覇者は一体誰? 果てない戦 いつか終わりが来る我らが主たちの勝利を祈り 信じて我らは戦う勝利の為に 愛する者たちの為に♪」リュートと歌の調べが終わり酒場には 拍手が起こるシルリラはそっと目立たぬように彼女は休憩の為に酒場の隅に座り食事を取っている。そこに「シルリラ いい歌だったよ」「アライア 有難う 嬉しいわ」「俺の兄の事は もう諦めた方がいい」「・・・・」悲しそうにうつむくシルリラ「俺も戦に出るギデオン様やイーサン様達の為にお役に立ちたくて」「ねえ、貴方も行くのね」「俺が無事に戻れたら・・俺との事を考えてくれないか シルリラ?」「アライア」「愛してるシルリア」「・・わからないわ でも・・貴方の事がとても心配よ 行って欲しくない戦に出なくても 幾らでもお役に立てるのじゃない?貴方の兄ハンソンもそうだったどうして私の大事な人は戦に行きたがるの?」「泣かないでくれ、すまない騎士として生まれ、この大事な時に自らの身や命を捧げるのは兄ハンソンも俺も同じだ」「考えてみるから、必ず帰ってきて」「約束する」その後の事である。アライアの行った戦地が激戦だと聞きシルリアは不安と悲しみで涙したのだった。そんな気持ちを押し殺して 吟遊詩人としてただ歌い続けている無事にアライア達がやがては…戻るって来ると信じて

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第26話 再会の言葉〜ネットゲーム友達?

    再会の言葉‥「やあ元気そうで何より」「ふふ‥これからもよろしくね」思い切り顔をしかめて言ってやったのだった。「知るか!この馬鹿野郎おお」と怒鳴ってみました。数年前に直接、会う事もなく、ネットのゲームで知り合い パーテイを組んでそれから・・日常と非日常の世界の境目でゲーム世界の冒険を看破してリアルで会って驚いた。小学校で同級生だった秋里、秋里 翼ネットで知りあったのは同級生!同じ学校の同級生だった!「元気に会社員してるのか、子供時代はあんなに可愛かったのに」彼女の言葉に「悪かったな、おじさんになって‥どれだけの指月がすぎたと思っているだよ」俺は答えた。「あははっ、そうだね、本当に久しぶりだ」「また、ネットゲームしようよ、一緒にレベルアップしょう、それから新しいネットゲームもあったら」そんな彼女の言葉に笑顔にそう、屈託のない彼女の笑顔懐かしい学生時代の彼女の顔、笑顔と重なる俺の頬が何故だか少し赤くなって、横を向いたままぶっきらぼうに答えたのだった。「ああ、お前に付き合ってやる」「わぁーい、ファンタジー系が良いかな?それとも未来宇宙系?それとも…?」数年後に気がつけば、結婚式捕まえたのは彼女か俺か?とにかく、彼女の笑顔はいつもお日様のように素敵だった…料理はイマイチ、俺の担当

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第25話 異国のハーレム 女達のcafe占い

    昔の頃のただの小話・・悲しい哀れな小話あらゆる国で起きた悲劇の歴史の一つなのかも知れない。例えばスルタンの後宮拐われた者、戦争や略奪で連れ去れた者奴隷市場で売られた哀れな女たち明日をも知れぬ異国のハーレムに連れて来られた娘達は売られて奴隷となった娘達のささやかな、僅かなわずかの望み・・そうして、女たちは僅かな希望の糸をたぐろうと教えられた占いで明日のおのれの姿を映し出すコーヒー占いコーヒー占い・・占いに映したされたのは幸運を得た自分か哀れな自分か?滴の後先で、占うたわいのない遊びに耽る・・主の気まぐれで明日はどうなるか分からない我が身・・あるいは、主の妻に疎まれ、何処で殺される事も主あるかも知れない奴隷として売られて来た我が身の嘆き古里も家族も友にも会う事なく、戻る事さえ許されずに奴隷としての哀れな女の一生を終えるのみわずかな希望そう、僅かばかりのわずかな、女達のそれは、ささやかな望みは何なのか・・明日の我が身はどうしている事だろうか・・時に嘆き、時に思わぬ幸運に恵まれる者次のスルタン、皇帝の子供、スルタンの母に富と疎まれ殺される者暗い場所に送られ嘆き歌を歌う者海に沈められた罪人とされた者たち明日の行方など誰が知る?明日の行方それは今も大昔も変わらず人は時に流され生きるのみ

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第24話 雨降りの喫茶店 来ない人を待っている

    ザァザァと降りしきる雨、雨、重い濃灰色の空灰色の雨降りの空、街行く人達を眺めながら喫茶店で…あの人を待つ分かっている、理解している、あの人は来ない来るはずもない事などでも…でも、私は…私は…待っている。いつものコーヒーにチーズケーキを注文していつも通りに…あの人を待つの。………………分かっているわ でも待っているの待っている 待っている‥あの人は来ないけど待ち合わせだ場所だった喫茶店  いつも通りのコーヒーにケーキを注文する外の風景 窓辺の風景は雨が降って 道行く人が色とりどりの傘を差して 雨に濡れる花のようにも見えたあの人は来ない‥ 昔は遅刻の常習犯の彼がお詫びにおごってくれるの常だったのだけど太陽みたいに明るく朗らかな彼の笑顔いつも、私はつい、つい、簡単に許して上げるのだけど‥雨降りのある日、子供を庇ってトラックが彼を‥だから‥もうあの人は来れない雨降りのこの喫茶店  思い出記憶の中では いつも楽しそうに笑う彼の姿が目に浮かぶ 思い出ばかり あの人の姿は記憶のまま 年を取ることもなく やがて薄れてゆくのかな そんなことさえ考えるああ、降りしきる雨音の中で、雨降りの喫茶店の中で私はまた来ない人を待つのそうして、まだ、ずっと雨はやみそうにない

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第23話 孤独な偽物の男爵令嬢

    20世紀初頭 タイタニック号のような広く知られた水難事故だけでなくとも客船が事故で水没した事件はあるにはある 大戦前の華やかな時代の頃私がメイドとして仕えていた男爵家もそう船での水難事故目の前で冷たくなって‥水死した男爵令嬢シャーロット嬢貿易商だった裕福な一家一家に召使はすべて水死‥そして私は‥私は身よりのない、貧しい子供、それが私 私はメイドとして豪華な彼等の暮らしを眺めながら仕えていたお嬢様の誕生日会の御祝い事に クリスマスなどの祝い事同じ年ごとのお嬢様 シャーロット様ただ、ただ本当は羨ましく‥だから事故で死んだ男爵令嬢と入れ代わってしまった罪を犯した私男爵令嬢シャーロットして 銀行の貸金庫の前本物の豪奢なダイヤや宝石の数々  男爵家の財産の一つニセモノの私が本物の宝飾品を手しているお金持ち、富豪の男爵令嬢に相応しい最新の綺麗なドレスに身を包み絹の手袋でダイヤを手に取る黄金の煌めき、眩しいほどのダイヤモンドの輝きに大粒のサファイア、ルビーの数々パスポートは新しく作り 旅券もある貿易商の仕事はたたみ、財産に代えたのだったこれから私は男爵家の生き残りとして 遠い異国で暮らしてゆく事故の時の顔の傷 花飾りの大きな帽子にベールで隠しながらそうして、男爵一家を知る者達に気がつかれぬように顔の傷を隠し、孤独の中でニセモノの男爵令嬢は暮らしてゆくのだから

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第22話 コメディ…巨大チョコ鍋と…あの悲鳴を上げる呪われたマンドゴラゴ

    それは恐ろしい鍋 呪われたチョコ鍋だった甘い香り 用意された声を上げるマンゴラゴ妖し気な屋敷そこで繰り広げられる 甘い饗宴「おほほほ この美味なる 闇のチョコ鍋の饗宴にようこそ」 悪役令嬢ならぬ アレリーニュ伯爵令嬢 リリアレン姫が高笑い前世は確かに日本人 しかし 記憶があちらこちら抜け落ちて ちょいっと妙な感じになっていた確かに 学園の部活とかで 交流を深める為に 闇鍋はある 持ち寄った材料をほおり込み 作る闇鍋材料に時にジャガイモ 時にポテトチップスうす味、またはポテチ九州醤油味  時には レンコン 時にはクッキー  時には巨大桜島ダイコン時には やはりチョコ  悲鳴を聞いてはいけないマンドラゴ え?たまにとんでもない事となり トイレに駆け込む者達 多数であった怪しげな材料を入れて 10メートル幅の大きなチョコ鍋がグツグツと煮える 甘いチョコの鍋 甘い香りに混ざって 不気味な色の煙と匂いがプンプン暴れる人食いモンスターのタケノコ 勿論 食べられる紐でがっちり縛られていた 「や、やめろ~~くおおおお お前ら食う 食ってやる」 ドボン! ぎゃああああああ!「ぎゃあああ、ぎゃああああん」と暴れて声を上げてるマンドラゴ この時、皆さま 耳栓をされている もう一人 「素敵ですお姉さま」「ほほほ そうでしょう」 こちらは妹のマリエーヌ姫 こちらも転生者であったが 性格にやや問題があった 内気ではあったのか 物陰からブツブツ言いながら 様子を見るのが定番 怪しげな実験が趣味 前世は科学者が将来の夢だったようだチョコ中毒 夕食のおかずに溶かしたチョコを入れるでんでんどろどろの不気味な魔法薬にもチョコを大量投入  本人 幸せそうに食べてるが 他の者は・・大変な事に  悲鳴を上げるマンゴラゴに熱いチョコをかけて 召し上がるあ、悲鳴を上げるチョコ漬けのマンゴラゴを耳栓しながら食べ更には 「愛する私の王子さま」そう言って怪しい料理を勧める 優しい温和な彼女の婚約者の王子は泣きながら 食べているという噂もあったり客に混ざり 彼女達の婚約者の王子たちが震えて涙を流す王族だが 貧乏で 更には革命で処刑される寸前の処を 彼女たちの父親に救われた「うふ~~~愛しい私達の王子さまに食べていただきましょうね」「えええ」声を上げる力

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第21話 薔薇とミルラ(没香)と古代エジプトの女王クレオパトラ

    「クレオパトラ7世さまが使われる薔薇を献上しました」王宮出入りの商人がうやうやしく礼をして王宮の役人に告げたのであった。荷台一杯に埋め尽くされた赤い薔薇に 満足そうに役人は頷く「ふむ 予定通りだな」他の役人が呟く「予定のミルラ(没香 アフリカ原産の香木)の方は?」「少し遅れているようだ」「ローマのカエサルさまとの食事の食材は滞りなく?」「はい、肉に魚にミルク、果実 野菜 葡萄酒 ビールなどの食材は揃っております」「真珠の献上に伺いました」別の商人が声をかけた この時代 真珠はとても貴重なもの王宮の奥深くでは 美しいクレオパトラ女王がミルクを注ぎ、薔薇の花びらを入れた風呂に浸かっていた「心地良いわ、カエサルさまがお帰りになるまでに‥うふふ」「ああ、そうだったわ アレクサンドリア図書館の蔵書の方だけど」召使に話しかける女王知的な語学と話術に優れた美しい女王は笑う 第一子となるカエサリオンの誕生、懐妊は間もなく‥。他の場所では 男がミイラ作りに専念している 「高価だが必要なミルラ(没香)材料のミルラが足りない 市場で買ってこないと それから新鮮な魚も買ってくるか」高価な品物でもあるミルラ(没香)これは余談、後の時代救い主、神キリストが誕生した時に祝いとして東方の三博士に捧げられたものの一つ、他にも乳香(フランキンセンス)に黄金もあるが…。建物の石積みをしている者達は 汗だくになりながら 話をしている「買りは酒場でパンにビールだ 魚料理もいい」文明発祥の地の一つ ナイル川の恵みにあふれた砂漠の地 港がある各国から繋がる交易の地エジプト アレキサンドリアかって有ったエジプトの王朝からギリシアにあったマケドニア王国のアレクサンダー大王がファラオとして即位して後 彼が若くして亡くなり 後継者として右腕の一人プレトマオス将軍が最後のエジプト王朝の王、祖となった陸路ではアフリカに東洋からも品々が運ばれる ナイル川の氾濫により、天文学が生まれ 氾濫の後には土壌の肥えた農業に適した土農業も盛んで穀倉地帯としても豊かパン作りから生まれたビールも飲まれている広いナイル川では多くの者達が漁をしていた。

  • 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集)   第20話 ペルシャ絨毯と旅の商人マルコ(イメージした歴史の小説、短編)

    ペルシャ絨毯を織り上げてゆく 長い長い時間をかけて‥女たちが休みなく織り上げる長い時間をかけて織り上げられたペルシャ絨毯「ああ、ようやく織り上げた 嬉しいわ 高く買ってもらわないと」「そうだね お前の婚姻の資金 持参金にするのだがら」そうして織り上げたペルシャ絨毯は人を渡り、店へと運ばれてゆくオスマン帝国の首都 イスタンブール(コンスタンスノーブル)そこは西と東を分け隔てるボスポラス海峡が都市の中心を流れているともいえる昔は東ローマ帝国の都 今ではオスマン帝国の都スーク(市場)の店で「どうですか?このペルシャ絨毯」「いいね この分とあれを‥」市場には様々な品物がならんでいる 生活に必要な日曜人に高級な数々の品物など「あら、エジプトの練り香水ね」手の平程の小さな壺 練った柔らかな塊の香水金銀細工の店なども多く スパイスを取りあつかう店も市場にあるとあるスパイスの店「ようやく、胡椒を積んだ船が到着したって」「ですよ 買い付けに行かないと」スパイスの店の奥ではそんな会話も聞こえてくるスパイス‥熱帯地域の一部でしかまだ取れなった時代胡椒(こしょう)などは金と同等の価値があった同じくてん菜から取れる前の時代などでは砂糖も同等に貴重「良いペルシャ絨毯が手に入った」「胡椒の方もお父さん」「そろそろ食事にするか アッラーに感謝の祈りの後でね」「ねえ、父さん この前知り合った僕と同じくらいの子 もう出発したの?」「ああ、そうだよヴェネチアから来た商人の家族 国は違うが、私達と同じ旅の商人」「そうか マルコ、マルコ・ポーロいつかまた会えるといいけど」 夕暮れの時間がやってくる 赤く染まった街ボスポラス海峡 行きかう小舟では会話が弾む「新しく出来た公衆浴場に行こう」「ああ、評判がいい」街、都市から離れた丘では離れてゆく都市イスタンブールを眺め 隊列を成してゆく者達「マルコ」「水売りから買った水 それから果実を入れた飲み物だ」「素敵な街でしたよ父さん」

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